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【2026年10月法改正対応】中小企業が急いで進めるべき「カスハラ対策」とマニュアル作成の重要性

  • 投稿:2026年03月01日

顧客からの理不尽なクレームや迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。 現場の従業員が疲弊し、離職やメンタル不調に追い込まれるケースが後を絶ちません。「お客様だから」と現場に我慢を強いる時代は終わり、企業として組織的に従業員を守る体制づくりが急務となっています。

本コラムでは、2026年(令和8年)10月の法改正を見据え、中小企業の経営者様・人事担当者様が今すぐ知っておくべきカスハラの基礎知識から、現場を守るための「対応マニュアル」の具体的な作成ポイントまでを網羅して解説します。

1. カスタマーハラスメントの意義とその背景

カスタマーハラスメントとは、顧客等からのクレームや言動のうち、「要求の内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであり、労働者の就業環境が害されるもの」と定義されています。 つまり、商品の交換など要求自体は正当であっても、大声で怒鳴ったり長時間拘束したりする行為はカスハラに該当し得ます。

なぜ今、カスハラ対策が必要なのか? 厚生労働省の実態調査によると、過去3年間に企業で相談があったハラスメントの中で、カスハラはパワハラ、セクハラに次いで多いという結果が出ています。従業員に多大な精神的苦痛を与え、業務のパフォーマンス低下や離職を引き起こす深刻な社会問題となっています。企業が対策を怠れば、被害を受けた従業員から「安全配慮義務違反」として損害賠償を請求されるリスクもあります。

データソース

  • 出典元: 厚生労働省
  • 調査名: 「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査(報告書)」
  • 調査対象: 全国の企業、労働者
  • 対象期間:過去3年間

2. 令和8年(2026年)10月の法改正で企業に求められる義務

こうした背景を受け、2026年(令和8年)10月1日に施行される「改正労働施策総合推進法」により、事業主に対するカスハラ対策が法律で義務化されます。1人でも従業員を雇用しているすべての企業が対象です。

企業が必ず講じなければならない主な措置は以下の通りです。

  1. 事業主の方針等の明確化と周知・啓発:カスハラには毅然と対応し、労働者を保護する方針を社内に周知すること。
  2. 相談体制の整備:従業員が相談できる窓口をあらかじめ設置し、適切に対応できる体制を作ること。
  3. 事後の迅速かつ適切な対応:事実関係を正確に確認し、被害者のケアや再発防止策を行うこと。
  4. プライバシーの保護:相談者のプライバシー(機微な個人情報を含む)を保護する措置を講じ、周知すること。
  5. 不利益取扱いの禁止:相談したことなどを理由に、解雇や降格などの不利益な取扱いをしないと定め、周知すること。
  6. 悪質なカスハラへの対処方針の整備:警察への通報など、悪質な行為への対処方針をあらかじめ定めること。

法改正で企業に求められる「6つの義務」チェックリスト

義務の項目具体的な対応内容(チェックポイント)
1. 方針の明確化と周知・啓発カスハラに毅然と対応し、従業員を守るという基本方針を明確化し、全従業員に周知・啓発しているか
2. 相談体制の整備従業員がいつでも相談できる窓口をあらかじめ設置し、担当者が適切に対応できる体制を整えているか
3. 事後の迅速かつ適切な対応事案発生時に事実関係を正確に確認し、被害者のメンタルケアや再発防止策を迅速に行う手順があるか
4. プライバシーの保護相談者や関係者のプライバシー(機微な個人情報含む)を保護するための措置を講じ、周知しているか
5. 不利益取扱いの禁止相談したことや事実確認に協力したことを理由とした解雇・降格などの不利益な扱いを禁止し、周知しているか
6. 悪質なカスハラへの対処方針過度な要求を繰り返すなどの悪質なカスハラに対し、警察への通報や対応打ち切りなどの対処方針をあらかじめ定め、体制を整備しているか

3. 現場を守る「対応マニュアル」作成の必須ポイント

法改正に対応し、現場の従業員が迷わず安全に行動するためには、「対応者の裁量に委ねない手順の型」となるマニュアルの整備が不可欠です。マニュアルに盛り込むべき具体的なポイントを解説します。

① NGワードとその言い換えの具体例

初期対応を誤ると、カスハラがさらにエスカレートする危険があります。

  • 【NG】安易に非を認める:「弊社のミスで申し訳ございません」「私の責任です」
    • 【言い換え(限定的な謝罪)】:「ご心配(ご不快な思い)をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません」と、事実確認前に会社の非を認める発言は避け、相手の心情に対してのみ謝罪します。
  • 【NG】曖昧な返答やその場しのぎ:「たぶん〇〇だと思います」「今回だけ特別に…」
    • 【言い換え】:「確認させていただきながら正確な情報をお伝え致しますので、少々お時間いただきますことをご容赦ください」
  • 【NG】感情的な反論:「さっき言っていたことと違う、嘘をつくな!」と責められた際に言い返すこと。
    • 【言い換え】:「嘘を申し上げたつもりはございませんが、わたくしの確認不足で誤った内容をお伝えし、誠に申し訳ございません」

② 警察への通報の基準

「お客様だから」と躊躇してはいけません。以下のような場合は、現場監督者の判断を待たずに直ちに警察(110番)へ通報するルールを定めます。

  • 即時通報:殴る、蹴る、胸ぐらをつかむ等の暴行、店舗の備品を壊す行為、「殺すぞ」といった脅迫など、緊急性や危険性を伴う犯罪行為。
  • 警告後の通報:複数回退去を命じたにもかかわらず居座り続ける(不退去罪)場合や、大声で長時間業務を妨害する場合。「出ていかないのであれば警察へ連絡します」と最終警告の上で通報します。

③ プライバシー保護のルール

相談したことで社内に噂が広まることを恐れ、被害を抱え込む従業員も少なくありません。マニュアルには、「相談内容や事実関係、ならびに従業員の性的指向や性自認(SOGI)といった機微な個人情報は厳重に保護されること」を明記し、担当者の守秘義務を定めます。

④ 従業員のメンタルケアの手順

被害を受けた従業員のケアは最優先事項です。

  • 一人で抱え込ませない:対応を一人に任せず、速やかに上司や二次対応者に引き継ぐバックアップ体制を整えます。
  • 専門家との連携:メンタル不調の兆候が見られる場合は、産業医やカウンセラー、専門の医療機関への相談を促す手順を定めます。

4. 経営者の義務と従業員へ発信すべき「トップメッセージ」

カスハラ対策を成功させる最大の鍵は、組織のトップ(経営者)自らが基本方針・基本姿勢を明確にし、強いメッセージとして発信することです。

従業員への情報共有の際には、以下の要素を盛り込んだメッセージを発信してください。

  • 「従業員を守る」という強い決意:カスハラは従業員の人権や尊厳を傷つける重大な問題であり、会社として決して放置しないこと。
  • 毅然とした対応方針:常識の範囲を超えた要求に対しては、組織として毅然と対応し、悪質な場合は警察や弁護士と連携すること。
  • 相談の奨励:トラブルが起きたら決して一人で抱え込まず、すぐに上司や相談窓口に報告してほしいということ。

トップが「会社が守ってくれる」という安心感を与えることで、従業員の定着率向上やモチベーションの維持に直結します。

まとめ:自社を守るための「実効性あるマニュアル」を作成しませんか?

2026年10月の義務化に向けて、中小企業においてもカスハラ対策は待ったなしの状況です。 しかし、「自社の業務フローに合った判断基準がわからない」「現場で本当に使えるマニュアルをゼロから作るのは負担が大きい」とお悩みの経営者様・人事担当者様も多いのではないでしょうか。

当社の「カスハラ対策マニュアル作成サポート」がお手伝いします。

  • 貴社の業種・業態に合わせた独自の「対応フロー」や「判断基準」の策定
  • 現場ですぐに使える「トークスクリプト(言い換え集)」の作成
  • 従業員への周知に使える「トップメッセージ」のひな形提供
  • 実践的な社員向け研修の実施

法改正に焦って間に合わせのルールを作るのではなく、従業員が安心して働き、企業のブランド価値を高めるための「組織の盾」を一緒に構築しませんか?


よくある質問(FAQ)

Q1. カスハラ対策の義務化は、中小企業も対象になりますか? A. はい、対象となります。2026年(令和8年)10月施行の改正労働施策総合推進法では、1人でも労働者を雇用しているすべての企業(事業主)が義務化の対象となります。

Q2. 法改正による保護の対象は正社員だけですか?アルバイトやパートも含まれますか? A. 雇用形態に関わらず、すべての労働者(正社員、パート、アルバイト、派遣社員など)が保護の対象となります。企業は自社の指揮命令下で働くすべての従業員に対して「安全配慮義務」を負っているため、非正規雇用のスタッフであっても適切な対応を怠れば損害賠償責任を問われる可能性があります。

Q3. すでにパワハラ等の相談窓口はありますが、カスハラ専用の窓口を新設する必要がありますか? A. 必ずしも専用窓口を新設する必要はありません。既存のパワハラ対策やセクハラ対策で設けている相談窓口を適用・拡張し、カスハラの相談も受け付けられるように体制を整える形でも問題ありません。

Q4. 悪質なクレームを繰り返す顧客を「出入り禁止」にすることは法的に可能ですか? A. 可能です。企業には法令等に反しない限り誰を立ち入らせるかを自由に決定できる「施設管理権」があり、社会通念上許容される限度を超えた迷惑行為を繰り返す相手に対しては、出入り禁止の措置をとることができます。ただし、恣意的で正当な理由のない出入禁止措置とならないよう、事前の基準作りが重要です。

Q5. 対策を進める上で活用できる助成金や奨励金はありますか? A. 例えば東京都では、要件を満たした都内中小企業等に対して40万円を支給する「カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金」を実施しています。マニュアルの整備と、録音・録画環境の整備や外部人材の活用といった実践的な取組の両方を行うことが支給要件となります。自社の所在地で活用できる支援制度がないか、確認してみることをお勧めします。

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【ご相談・お問い合わせ】

何から始めればいいかわからない」「自社に合ったマニュアルを作りたい」とお悩みのご担当者様へ

カスハラ対策は、法改正への対応だけでなく、大切な従業員の心身と企業のブランドを守るための「投資」です。しかし、日常業務に追われる中で、実効性のあるマニュアルをゼロから作成し、社内に浸透させるのは非常に労力がかかります。

当社では、専門的な知見に基づき、貴社の状況に合わせた以下のサポートを提供しております。

  • 現状分析とルール構築: 貴社の業種や現場の実態に合わせた「対応フロー」と「判断基準」の策定
  • マニュアル・トークスクリプト作成: 現場ですぐに使える具体的な言い換え例やNG対応を網羅したガイドの作成
  • 従業員向け実践研修: マニュアルを「読んだだけ」で終わらせないための、ケーススタディやロールプレイングを交えた研修の実施
  • 外部相談窓口の設置サポート: 従業員が安心して相談できる体制づくりの支援

「費用対効果が見合わない」「事を荒立てたくない」と放置すれば、結果的に従業員からの信頼を失い、組織の活力を奪うことになりかねません まずは現状の課題や不安に思っていることについて、お気軽にお話しください。

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