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「新しい事業を立ち上げたいが、社員のスキルが足りない」 「社内のDX(デジタル化)を進めたいが、教育コストがネックになっている」
そのようにお考えの経営者様、「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」をご存知でしょうか?
この助成金を使えば、企業の変革に必要な研修経費の最大75%賃金助成まで受けられる可能性があります。
今回は、この助成金の基本から、昨今厳しくなっている「研修会社選びの注意点」、そして申請の必須パートナーである専門家(社労士)の役割について解説します。
1. 事業展開等リスキリング支援コースとは?
このコースは、新規事業の立ち上げやDX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーン・トランスフォーメーション)に伴い、従業員に新たな知識・技術を習得させるための訓練経費を助成する制度です。
驚きの助成率と手厚い支援
2025年(令和7年)度も引き続き、非常に手厚い内容となっています。
• 経費助成率(中小企業): 訓練経費の 75% (大企業は60%)
• 賃金助成(中小企業): 1人1時間あたり 1,000円 (2025年4月より増額)
• 助成限度額: 1事業所あたり年間 1億円
例えば、社員1名に20万円の専門研修(20時間)を受けさせた場合、経費の75%(15万円)に加え、賃金助成(2万円)が支給されるイメージです.
対象となる条件
• OFF-JT(座学や実習) であること(OJTは対象外)。
• 実訓練時間が 10時間以上 であること。
• 「事業展開」 または 「DX・GX」 に関連する訓練であること
2. どんな研修・事例で使えるのか?
「会社が新しいことに挑戦する」というストーリーがあれば、幅広い研修が対象になります。
よくある活用事例
• 【建設業×ドローン】
◦ これまで人手で行っていた測量業務を効率化するため、ドローンを導入(DX)。社員に操縦資格を取得させるための講習を受けさせる。
• 【製造業×新技術】
◦ これまでの手動加工から、新たにCNC旋盤を導入して新製品を開発する(事業展開)。その操作プログラミングを学ぶ研修を実施する[16]。
• 【小売・飲食×ECサイト】
◦ 実店舗のみだったが、新たにネット販売部門を立ち上げる(事業展開)。WebマーケティングやECサイト運営のノウハウを学ぶ講座を受講させる[7]。
• 【全業種×DX推進】
◦ 社内業務のデジタル化を進めるため、ノーコード開発やデータ分析の手法を学ぶ研修を実施する[18],[25]。
このように、「新しい取り組み(事業展開・DX)」と「研修」がリンクしていることが重要です。
3. 【重要】「不正受給」に巻き込まれないために!研修会社選びの注意点
助成金は魅力的ですが、近年、研修会社が関与した不正受給が問題となっており、審査が非常に厳格化されています。 「実質無料」「キャッシュバック」といった甘い言葉には絶対にのらないでください。
危険な研修会社の特徴(NGチェックリスト)
以下の提案をする会社は避けてください。助成金が不支給になるだけでなく、最悪の場合、不正受給として社名公表されるリスクがあります。
1. 「実質無料」を謳う
「助成金が出るので、自己負担はゼロになります」と勧誘し、本来の経費負担をあいまいにさせる提案はNGです。
2. 金銭の還流(キックバック)がある
◦ 受講の対価として、御社に「広告宣伝費」「営業協力費」「アンケート謝礼」などの名目で金銭をバックする行為は絶対に禁止されています。これを受け取ると経費を負担していないとみなされ、不支給となります。
3. 定款に「教育訓練」の記載がない
令和7年度より、研修会社の定款(または登記簿)の事業目的に「教育訓練事業」が明記されていることが必須要件となりました。契約前に必ず確認してください。
契約前に必ず確認すべきこと
申請時には、研修会社に「支給申請承諾書」への署名を依頼する必要があります。これは「不正に関与したら連帯して返還義務を負います」という誓約書です。これに署名できない怪しい業者とは契約してはいけません。
4. 申請代行ができるのは「社会保険労務士」だけです
ここも勘違いしやすいポイントですが、助成金の申請書類作成や提出代行を、研修会社や無資格のコンサルタントが行うことは法律(社会保険労務士法)で禁止されています。
• 研修会社の役割: カリキュラムの提供、領収書の発行、進捗証明など。
• 社会保険労務士の役割: 計画届・支給申請書の作成、労働局への提出代行、審査対応。
「研修を申し込めば、申請手続きも無料でうちがやりますよ」という業者は、違法行為を行っている可能性が高いため、依頼するのは危険です。必ず、国家資格を持つ社会保険労務士にご依頼ください。
まとめ
「事業展開等リスキリング支援コース」を正しく活用すれば、企業の成長と人材育成を同時に実現できます。
成功のポイントは3つです。
1. 事業展開・DXの計画をしっかり立てる。
2. 怪しい研修会社(実質無料・還流提案)は徹底的に避ける。
3. 申請手続きは専門家である社会保険労務士に依頼する。
正しく制度を活用し、会社の変革につなげていきましょう。
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※本記事は2025年4月1日時点の規定に基づき作成しています。助成金の要件は変更されることがありますので、最新情報は厚生労働省のHPや専門家にご確認ください。