ご依頼の経緯
当初、T株式会社から寄せられたのは、店内のリーダー的存在であるS氏によるパワハラ行為に関する相談でした。S氏は日常的に他の従業員に対して高圧的な言動を行っており、職場の空気は悪化。パート従業員が退職するまでに事態は発展していました。社長はS氏に注意するなど対応を試みましたが改善されず、また会社には就業規則や懲戒規程も整っておらず、どのように対処すべきかわからないということで、当事務所へご相談いただきました。
担当社労士のコメント
まず私たちは、当事者であるS氏と、パワハラ被害を訴える従業員の双方にヒアリングを実施しました。S氏自身は「会社のためを思っての指導だった」と話しており、パワハラの意識は全くない様子でした。しかし、被害者側の話を聞くと、精神的に大きな負担を感じていたことが明らかになりました。
このように両者の言い分を丁寧に聞いたうえで、社長に対して中立的な立場から状況を報告し、社内の意識改革が必要であることを説明しました。
まず取り組んだのは、ハラスメントに関する社内説明会の実施です。「ハラスメントとは何か」という基本的な知識から始め、従業員全員に対して啓発を行いました。加えて、ハラスメント全般に関する社内相談窓口を社長に設けてもらい、従業員が安心して声を上げられる仕組みを構築しました。さらに、正式な懲戒規程も新たに整備し、今後同様の事態が起きた際には、明確なルールに基づいて対応できる体制を整えました。
結果
- 問題の本質を丁寧にヒアリングし、当事者双方の言い分を公平に把握したことで、感情的な対立を避け、適切な対応が可能となった。
- ハラスメントの正しい知識を全社に周知する説明会を実施し、社内の意識改革を促進。
- 相談窓口の設置や懲戒規程の整備など、再発防止に向けた制度を構築したことで、安心して働ける環境を整えた。
- 結果として、問題行動のあった従業員の言動が改善し、職場の雰囲気も好転。退職などの損失も防げた。
つまり、トラブルの「根本原因」に向き合い、仕組みと意識の両面から職場環境を整えたことが成功につながった要因です。
お客様のメッセージ
あのまま放置していたら、職場の雰囲気はもっと悪化していたと思います。第三者として公正な立場から話を聞いてくれたことで、私自身も状況を冷静に理解できました。今ではS氏も指導の仕方を見直し、職場内でのトラブルは明らかに減っています。職場の環境を立て直すためのアドバイスと仕組み作り、本当にありがとうございました。