ご依頼の経緯
墨田学習館では、正社員と非正規の講師が同様の授業を担当し、生徒対応もほぼ同等であるにも関わらず、賃金体系が異なっていました。時間数や責任の重さには差があるものの、職務そのものに大きな違いがなく、非正規講師からも「なぜ待遇が違うのか」といった声が挙がっていました。
そこで、職務に見合った評価と公平な賃金制度の必要性を感じたN塾長は、制度見直しを決断。当事務所へ助成金活用の相談があり、「賃金規定等共通化コース」の活用を提案しました。
担当社労士のコメント
1. 計画書の作成と提出
キャリアアップ計画書を作成し、労働局へ提出。対象となるのは2名の非正規講師で、正社員と同様の評価項目に基づいた賃金テーブルへの統一を図ることにしました。
2. 管理者の決定と制度設計
新たな制度を円滑に運用するため、社内で管理者を決定。職務ごとの貢献度を定量的に評価できる基準を作成し、非正規・正社員共通の職務等級制度を設計しました。
3. 賃金規程・就業規則の改定
従来の賃金規程を全面的に見直し、非正規従業員にも正社員と同一の評価制度・給与テーブルを適用する規定を作成。就業規則に明記し、労働基準監督署へ届け出ました。
4. 新賃金制度の運用開始と継続
制度導入後、6か月間にわたり新賃金規程に基づく給与を支給。評価面談を通じて従業員にも納得感を持ってもらい、制度の定着を図りました。
5. 助成金申請・受給
6か月間の運用を経て、賃金共通化の取組として支給申請を実施。無事に認定され、60万円の助成金を受給することができました。
結果
制度改定により、非正規講師も「自分の働きが正当に評価される」という実感を持ち、業務への意欲が向上。また、賃金テーブルが共通化されたことで、「この等級を目指したい」といったキャリア意識も醸成されました。
離職率が高まる中小の教育業界において、職務内容に基づいた処遇の平等化は、長期的な人材確保に直結する重要な取り組みとなりました。
お客様のメッセージ
「同じ仕事をしているのに待遇が違うという状況に悩んでいましたが、共通の制度を作れたことで、公平感が生まれ、職場に一体感が出てきました。助成金も60万円支給され、制度導入の費用面でも非常に助かりました。今後は、この制度を土台にさらに人材育成に力を入れていきたいです。」