ご依頼の経緯
M社長は、近年慢性的に発生していたパート・契約社員の離職に悩んでおられました。繁忙期になると人手が足りなくなる一方で、待遇改善に踏み切る余裕もなく、非正規従業員とのコミュニケーションにも課題を感じていたそうです。
そんな中、「助成金を活用すれば、従業員の処遇を見直すきっかけになるのでは」と考え、顧問税理士の紹介で当事務所に相談が入りました。
担当社労士のコメント
1. 初回相談・ヒアリング(1ヶ月目)
非正規従業員の平均時給や勤務年数、職種別の課題などを丁寧にヒアリング。離職理由として「評価されていない」「時給が上がらない」などの声が上がっていたことから、処遇改善策のひとつとして「賃金規定等の改定」をご提案しました。
2. キャリアアップ計画書の作成と提出(2ヶ月目)
労働局に「キャリアアップ計画書」を作成・提出。対象は、有期契約者8名で、うち6名が物流現場スタッフ、2名が事務職。改定後の時給をすべて3%以上増額する計画としました。
3. 賃金規定の改定・適用(3ヶ月目)
就業規則および賃金規定を改定し、全対象者に対して正式に通知。増額の根拠や評価基準についても丁寧に説明し、不公平感のない制度設計を心がけました。
4. 改定後6か月間の賃金支払い(4~9ヶ月目)
新しい賃金規定に基づき6か月間給与を支給。勤怠管理も正確に行い、申請に必要な証拠書類を整備しました。
5. 支給申請・助成金受給(10ヶ月目)
労働局に支給申請を行い、2ヶ月後に助成金の支給が決定。該当従業員8名分で、計40万円の助成金を受給することができました。
結果
制度改定後、従業員からは「昇給があると思っていなかったので驚いた」「頑張りが評価されたようで嬉しい」といった前向きな声が寄せられました。中には新制度をきっかけに、正社員登用への意欲を見せる方も出てきました。結果として、直近半年間での離職者はゼロとなり、職場の安定化に大きく貢献しました。
お客様のメッセージ
「離職が多くて困っていたところに、助成金を使って制度を見直す提案をしてもらえて助かりました。ただ時給を上げるのではなく、就業規則に組み込んで、明確な制度として整備できたことで、従業員の信頼も得られたと感じます。今後も継続して人材育成に取り組んでいきたいと思います。」
(モデルケース)